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そういう気がするわけでございます。
そんなことでございますので、芸術の8つの要素、先ほど申し上げました「独創性」「創造性」「精神性」「私人性」「自由性」「柔軟性」「世界性」「母源性」をできるだけ取り込んだ公立文化施設の運営というようなことがこれからの課題となるんじゃなかろうか、そういうように思うわけでございます。
結論的に申し上げますと、アーツマネージメントというのは、万人の心に感動のともしびをともすことのできる芸術と、その創造者と、それから行政や企業や市民、地域社会との間を、経済的、技術的、人間関係論的な面で心豊かにとりなし、それによって地域の芸術文化の底辺拡大と水準向上を図ろうとする、きわめてアーツコーディネーション的な働きの総体と言うことができるんじゃなかろうか、そう思うわけでございます。
そういうようなことで考えてまいりますと、多くの施設では、館長さんのような方がいらっしゃって、それから管理部門がありまして、それから事業部門がある、大体そういう形態があろうかと思います。中にはそうではないところもあろうかと思いますけれども、今、問題となっておりますのは、この管理部門におけるハードなアートマネージメントというのは今まで非常によく研究されてきた。これを私はジェネラル・アートマネージメントというふうに呼びたいと思います。つまり、一般的な、管理的なマネージメント。つまり、貸し館に徹しているところでも、アートマネージメントの機能はあるわけでございまして、それを私はジェネラル・アートマネージメントというふうに呼びたいと思います。
ところが、現在、全国的に、または世界的に話題となってきているのは、それだけではなくて、事業部門におけるもっとソフトなスペシャル・アートマネージメントというのか、つまりアーチストの、「創り人」のさまざまな複雑な創造的な働きというふうなものを十分にとらえて、それを多種多様な「楽しみ人」へ円滑に提供していく、そういうきわめて専門的な、スペシャルなアートマネージメントが多少今まで等閑視されてきた。そういう時代的な状況に立って、さて、どのようにスペシャル・アートマネージメントの機能を強めていくか、これが現代の課題となるんじゃなかろうか、そのように思うわけでございます。
次に、「アートマネージメントの歩み」ということでございますけれども、余りこれに時間をとりますと肝心の具体的なことが出てまいりませんので、簡略に申し上げたいと思います。実は私、今回のレジュメをつくるに当たりまして一番参考にしたのは、北海道・東北地

 

 

 

 

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